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2016.02.04
【コラム】内藤忍氏/ マイナス金利導入で海外不動産投資家が考えるべきこと

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2016年1月の金融市場は世界的に大荒れになりました。その中で1月29日に日銀が打ち出した大胆な金融政策が「マイナス金利」の導入です。従来の量的・質的金融緩和に加え、マイナス金利という新しい金融緩和のツールを導入は、日本における金融政策が新たな局面に入ったことを示しています。

マイナス金利の導入の背景は日銀のデフレ脱却という強い意欲です。発表によってドル円は118円台から121円台まで円安が進みました(2月1日執筆時点)。また、週末の海外株式も好感して上昇し、世界的な株価にもプラスの要因となっています。一方で、国内の金融機関の株価は下落しました。利ざやで稼ぐ銀行の収益性が悪化するという懸念が出てきたからです。このようにマイナス金利には、副作用があるにも関わらず、導入を強行したのは、デフレの長期化に対する日銀の強い危機感があるからだと思います。

マイナス金利の導入によって、短期の円金利だけではなく金利全体が低下することが予想され日本円でインカムゲインを狙う金融商品は、利回り低下で投資魅力が更に低下することになります。短期債券で運用する投資信託の中には、低金利で運用コストをまかなうことができなくなり、新規募集を停止したり、ファンドを償還させる動きが出てくることが予想されます。

このような中で日本の個人投資家が海外不動産投資に関して、考えるべきことは2つあります。1つは、今後の円安の可能性を考えた外貨ポジションの構築です。円安になるか円高になるかは誰にもわかりませんが、確かなことは円安になると海外不動産投資のハードルが高くなってしまうことです。実際、1ドル=100円前後の時に投資を考えていたにも関わらずその後の円安で海外不動産投資を断念した投資家が何人もいます。

これから海外不動産投資を検討している人は、物件を探すのとは別にタイミングを見て外貨調達をしておくべきだと思います。投資国が決まっていなければ米ドルでも問題ありません。外貨預金をするのではなく、FX(為替証拠金取引)を使って外貨の買いポジションを作っておくことです。現受(げんうけ)と呼ばれる外貨をそのまま出金できるサービスを行っている会社を選ぶようにしましょう。

もう1つは国内の円による海外不動産投資資金の調達です。円金利の低下は、運用資産としての円の魅力がほとんどなくなったことを示しています。一方で、考えるべきことは調達手段としての円資金の活用です。国内の不動産投資では2%以下の低利の資金調達が可能になっていますが、日本の銀行の多くは海外不動産を担保として認めず、海外不動産購入にローンを付けてくれません。借入をしたい場合は、現地の銀行から借りるか、国内金融機関から高金利の円のフリーローンで借りるしかありませんでした。

しかし、海外不動産投資資金ではなく、海外事業投資資金として事業計画を作り金融機関に説明すれば、一部の金融機関では日本の不動産を担保に海外不動産購入資金の融資を受けることが可能になっています。ハードルは高いですが、借入が出来れば国内の不動産と同じように低金利の円資金の調達によって資産運用の成果を一段と高めることができます。

今回、日銀が2%のインフレという物価目標に向け、必要なことは何でもやると示した意義は大きいと言えます。一段の円安の可能性と国内低金利の長期化を前提とした資産運用戦略を海外不動産投資にも導入していくことが、これから益々重要になるはずです。

※本コラムは、マネックス証券の創業にも参加された、資産デザイン研究所代表取締役の内藤忍氏より寄稿頂いた原稿を基に構成しています。

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投稿更新日:2016年02月04日