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2015.06.15
【コラム】内藤忍氏/ 為替レートの変動はリスクでありリターンの源泉

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為替レートの変動はリスクでありリターンの源泉

海外不動産は国内不動産に比べリスクが大きな投資と言えます。それは、それぞれの国のカントリーリスクがあることも理由の1つですが、何より大きいのが為替リスクの存在です。

米国であれば、米ドルでの投資となり、タイであればタイバーツ、フィリピンならフィリピンペソでの投資となります。それぞれの通貨と円との為替レートの動きが、現地の不動産価格と合わせて変動要因となってくるのです。円ベースのキャピタルゲインは『上昇率= 現地価格の上昇率× 現地為替レートの上昇率』で計算できますから、相乗効果によって大きなリターンになったり、逆に大きな損失になることもあり得るのです。

ただし、ここ数年で海外不動産投資をはじめた人は、為替の円安と現地価格の上昇という2つの恩恵によって、掛け算で資産を増やしている人が圧倒的です。

カンボジア不動産で実感した為替の威力

私も2年前にカンボジアにコントミニアムを購入しましたが、当時の為替レートは1ドル=100円でした。カンボジアは米ドルでの投資が可能です。13万5,000ドルの物件を、1,350万円で投資したことになります。その後、プレビルド(完成前物件)で購入した建物が完成し、今年からはテナントも入って賃貸物件として稼働し始めました。

2年間の間に為替レートは円安に振れて、現状は124円になっています(2015年5月末現在)。また現地価格も上昇して、恐らく17万ドル程度では売却可能と思われます。円貨の換算では2000万円を超える水準まで上昇しているのです。これが、掛け算の効果です。

家賃にも影響する為替レート

為替レートの変動は、円ベースの物件購入価格だけでなく、購入した不動産物件を賃貸した時の家賃にも影響します。物件の賃貸相場は当初、1,700ドル程度と言われていましたが、実際にテナント契約した価格は約1400ドルでした。1ドル=100円の時で17万円を想定していた家賃ですが、実際の家賃は1400ドルと2割ほど低くなりました。しかし、為替レートは20%以上円安に振れたため、円ベースの手取り金額は当初の想定とほぼ変わらない水準になっています。

もちろん円高が進めば、円ベースの手取りが少なくなるリスクは存在しますが、為替リスクの見返りに国内不動産では実現できない大きなリターンを得ることができるのです。

リスクもありますが、長期的な経済成長の恩恵を受けることができ、円安になれば「掛け算」でリターンを高められるというメリットがあるのです。

これからの為替の動きをどう見るか

このように、為替の動きが大きなポイントになる海外不動産投資ですが、これからの見通しはどうなるのでしょうか。5月末に1ドル=124円台を付けて、一段の円安が進んでいますが、これからの動きについては、専門家の間でも意見が分かれています。

ここで注意しなければならないのは、誰の意見を参考にするかです。新聞などに掲載されている相場見通しのコメントを掲載するだけの「エコノミスト」や「ストラテジスト」といった人たちの意見を鵜呑みにしないことです。過去の記事を調べてみればわかりますが、その場に都合の良いコメントを書いているだけで、無責任な内容だからです。

例えば、1ドル=120円の時は、予想レートを117円~123円。1ドル=124円になると、予想レートが121円~127円と言っているのでは、単に現状の水準から上下に変動幅を入れているだけで、何の役にも立ちません。

自分でリスクを取っている人の話を聞く

むしろ耳を傾けるべきは、自らリスクを取って、数字で実績を示せる「本物の投資家」です。私は基本的には相場観を持たず、自分の資産配分から外貨の投資比率を決めていく投資手法を取っていますが、唯一相場観に関してアドバイスを参考にしているシンガポールの投資家がいます。

今回の円安局面を以前から予測し、自らも大きなポジションを取って利益を実現している投資家です。3月にはセミナーを開催してもらい、多くの個人投資家に極めて有益な情報を提示してもらいました。

為替レートの見方についても、現地の物件の目利きについても、誰と付き合うかが、その成果に大きく影響します。リスクを取らない人とリスクを取る人のどちらを参考にすべきか。答えは明白です。

※本コラムは、マネックス証券の創業にも参加された、資産デザイン研究所代表取締役の内藤忍氏より寄稿頂いた原稿を基に構成しています。

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投稿更新日:2015年06月15日