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2023.08.16
マニラ湾の埋め立て開発事業が凍結、環境団体に配慮

フィリピン政府はこのほど、ドゥテルテ前政権時代に承認されたマニラ湾の埋め立て開発事業22件を凍結することを決めた。洪水や環境破壊に繋がるとして反対していた環境団体に配慮した形で、今後、持続可能な開発、環境問題、生物資源の多様性、気候変動の問題、土地活用の観点から調査を行うとしている。

また、今月初めに在フィリピン米国大使館が、中国軍による南シナ海の軍事化を支援することに繋がる可能性があるとして、埋め立て開発事業に懸念を示したことも影響したと見られる。同事業の一部は米国大使館の目の前でも行われているが、それを米国のエンティティ-・リスト(安全保障上の懸念がある事業体のリスト)に掲載されている中国国営企業「中国交通建設集団(CCCC)」の子会社が受注したことが問題視されている。

ただ、マニラ湾の埋め立て開発事業は、フィリピン経済に大きな恩恵をもたらしてきた経緯がある。例えば、財閥大手SMグループが埋め立て地の一角で、国内最大の商業施設「モール・オブ・アジア」を中核とするタウンシップ開発を行ったことによって、マニラ首都圏に新たな一大商圏が生まれている。

2028年頃の開港を目指してマニラ首都圏北方のブラカン州で整備が進む「新マニラ国際空港(ブラカン国際空港)」など、埋め立て地では今後も様々な開発が予定されているだけに、環境団体が求める永久凍結にまで踏み切るのか否かが注目される。

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投稿更新日:2023年08月16日