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2016.08.05
【コラム】内藤忍氏/ 不動産投資は世界各国を「水平比較」することが重要
不動産投資で重要なことは、絶対評価で物件を選ぶのではなく、相対評価で考えることです。利回りが高く、空室になりにくく、売買が簡単で、価格が手ごろな物件というような、投資家にとって絶対的に都合の良い物件は通常存在しません。
利回りが高ければ、その分空室リスクなどの物件の不確実性は高くなり、価格が手ごろであれば投資家が殺到しますから、価格は上昇し、利回りは低下する。これがマーケットのメカニズムです。だから大切なことは、不動産投資に対しての自分の優先順位を明確にして、それに最もふさわしい物件を幅広い投資対象から見つけていくことです。
例えば、為替リスクを取りたくないということであれば、国内不動産にフォーカスすることになります。逆に、円安リスクをヘッジしたいという目的になると、海外不動産から選択することになります。
海外不動産に投資する場合、対象国は大きく先進国と新興国に分かれます。先進国の場合、法律や制度が成熟しているため、投資を行ううえでは大変安心感があります。また、先進国では一戸建て・コンドミニアムを問わず、外国人でも不動産の購入を比較的自由に行うことができます。
さらに、ドルやユーロ、ポンドといった先進国の通貨は、新興国の通貨に比べて流動性が高いため、海外不動産投資のリスクのひとつとなる為替変動リスクも比較的小さく抑えることができます。
一方、新興国の不動産の場合は、土地の所有権が認められていない国も多く、コンドミニアムへの投資が中心です。完成前のプレビルドと呼ばれる物件を割引で購入し、完成後にテナントを付けて賃貸していくことになります。新興国の不動産の魅力は値上り益と、相対的に高い賃貸利回りにあります。経済成長率が高く、インフレ傾向の経済なので、家賃も上昇しやすく、表面賃貸利回りが10%を超える場合も珍しくありません。
しかし新興国の場合は、国によってカントリーリスクが異なり、物件の選択を間違えるとテナントが付きにくい物件を購入してしまうリスクもあります。また、一気にコンドミニアムが完成し、供給過剰になってしまって需給バランスが崩れてしまうことも珍しくありません。
このように不動産投資と一言で言っても、自分の投資目的に合った投資対象を幅広い選択肢を確認してその中から絞っていくことが、失敗しない投資のためには、極めて重要なのです。
投資の選択肢は様々な国に年々広がってきています。常に最新の情報をアップデートすることで、新しい投資のチャンスが見えてきます。
※本コラムは、マネックス証券の創業にも参加された、資産デザイン研究所代表取締役の内藤忍氏より寄稿頂いた原稿を基に構成しています。
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投稿更新日:2016年08月05日