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2016.04.04
【コラム】内藤忍氏/ ローンを活用した海外不動産投資の可能性

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海外不動産投資には国内不動産投資とは異なるメリット・デメリットがあります。デメリットの1つとして挙げられるのが、ローンの制約です。海外は日本国内に比べ、不動産投資の際の借入金利が高くなる傾向があります。国によっては、賃貸で想定できる利回りよりも、借入金利の方が高くなる場合もあります。逆ザヤになってしまうと、空室リスクを考えれば、ローンを活用しての投資は割に合わないことになります。

また、外国人の現地銀行での借入自体が難しい国があったり、借入ができても物件価格の50~60%程度が限界で、日本のようにフルローンに近い借入はほぼ不可能です。自己資金をある程度保有している投資家しか、海外不動産は購入できないというのが今までの常識でした。

ところが最近、100%政府出資の政策系金融機関である日本政策金融公庫が、中小企業・小規模事業者のための事業資金融資制度を設けて、その中で不動産賃貸業の創業も借入可能な業種として認めるようになってきています。

この場合の不動産には海外不動産も含まれているようで、金利も円で固定金利2%以下という低金利で調達可能です。融資額は最大で7,200万円までで、審査はありますが、海外不動産の購入資金として実際に借り入れを実現した人も存在するのです。

ただし、この場合は不動産「投資」ではなく、不動産賃貸「事業」としての貸付ですから、事業としての計画を作成して融資の審査を受けなければなりません。

現時点では、海外不動産の購入資金としての借入を行うケースは、ハードルは決して低くないようです。銀行に説明できるような、しっかりとした事業計画を自分で立てられる人はあまりいないと思いますから、多くの人は税理士などの専門家が提供している有料のサポートサービスを使って、銀行の窓口で相談しています。

また、借入は固定金利の円ですから、借入ができたとしても、海外不動産購入の際は、それを現地通貨に交換して投資することになります。借入が円で、資産が外貨という形になりますから、円高になると債務が膨らみ、資産が目減りするリスクがあります。逆に円安になれば、借入負担が減って、資産が増えるという効果が出てきます。

実際に借り入れを円で行い新興国の不動産を購入している人の話を聞くと、現地で受け取る家賃収入は、現地の銀行に外貨収入として積立ておき、国内のローンの返済は、仕事の収入を使っているというケースがありました。

賃貸収入で返済するのではなく、外貨は外貨運用として現地で完結させて、国内の円の返済は他の円による収入を使って返していくというやり方です。外貨資産を積み上げていきたいという人にとっては、円資産から外貨資産へのシフトが定期的に進めることができ、理想的な方法と言えるでしょう。

日本人投資家が現地で海外の金融機関からローン借入するのは、制約が多いだけではなく、手間もかかります。日本の国内の金融機関のように、きめ細かなサービスがあるとは限りませんから、手続に時間がかかることも覚悟しなければなりません。

今後、国内の金融機関も国内での資金運用難から、海外投資資金への融資を積極化させる可能性もあります。そうなれば、円資金を調達して、海外不動産を購入する動きは、さらに広がっていくことが予想されます。

「海外不動産は現金購入だけ」という今までの常識は、数年後にはもしかしたら「非常識」になっているかもしれません。海外不動産投資を検討している人にとっては、今後の動きをしっかりフォローしておく価値のある情報です。

※本コラムは、マネックス証券の創業にも参加された、資産デザイン研究所代表取締役の内藤忍氏より寄稿頂いた原稿を基に構成しています。

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投稿更新日:2016年04月04日